高齢者介護施設で働いていた頃、私はいつも張り詰めた緊張感の中にいました。
施設長の口癖は「何かあったらどうするんだ」。
その言葉が胸に刺さり、毎日が緊張マックス状態でした。
高齢で重い病気を抱えている方
余命いくばくもない方……
いつ急変してもおかしくない環境で、
「私で対応できるだろうか」
「責任が重すぎる」という重圧と不安が、常に頭から離れませんでした。
不安が作る「ピリピリした世界」
自分が不安でたまらないとき、
人は周りにも厳しくなってしまうものです。
「あれはどうなってるの?」
「これで来てないよ!」
「きちんとしてもらわないと困る!」
当時の私は、自分の不安を消したい一心で、
周りのスタッフに対してピリピリと神経を尖らせていました。
自分がプレッシャーに押し潰されそうだったからこそ、周囲にも完璧さを求めてしまっていたのです。
肩の力を抜いてくれた、新人スタッフの一言
そんなピリピリした現場で、ある日、新人スタッフがふとこんな言葉を口にしました。
「みんなお年だから、何かあって当たり前ですよね。今日は何もなくて良かったですね」
その言葉を聞いた瞬間、
頭を殴られたような衝撃を受けると同時に、
フッと肩の力が抜けていくのを感じました。
「そうか、私には他人の命の保証なんてできないんだ」
急変が起きれば、プロとしてできる限りの対応をする。
けれど、未来の命を守りきれるかどうかまで
自分ひとりで背負い込む必要はなかったのです。
起きていない未来ではなく、「今」に価値を置く
私は「まだ起きていない急変の不安」に怯えるあまり、
一番大切な「今目の前にいる利用者さんとの時間」を犠牲にしていました。
- 私に命の保証はできない(事実を受け入れる)
- 起きていない不安に怯えるより、今目の前の人を大切にする(視点を変える)
そう心に決めて視点を変えた瞬間、
私の周りの空気感はピリピリした警戒心から、
穏やかで温かい雰囲気へとガラリと変わりました。
「今、ここ」をどう生きるか
仕事でも人生でも、
「何かあったらどうしよう」という不安に飲まれそうになる瞬間があります。
ですが、まだ来ない未来をコントロールすることは誰にもできません。
大切なのは、
- 今をどう捉えるか
- 今どこに価値を見いだすか
- 今どう行動するか
未来への不安で心が破裂しそうなときは、
ぜひ「今、目の前にあること」に視点を戻してみてくださいね。

コメント